(荒木歯科、足立歯科クリニック、橋本歯科、村井歯科医院のスタッフを中心としたスタデイグループです)


最近、新聞や雑誌で時々取り上げられているように電動歯ブラシが一種のトレンドになっています。
そのせいなのでしょうか、電動歯ブラシの使用がファッションのように患者さんに広がってきています。
一方、私たち歯科医療従事者は
「電動歯ブラシは手の不自由な人に勧め、一般的には手用歯ブラシが良いと思う」
と電動歯ブラシに否定的な考えの人が多いのです。
私たちのスタデイグループでも同様でした、しかし「電動歯ブラシはなぜだめなんですか?」の質問に誰も答えることができないのです。
私たち歯科医療従事者が実際に電動歯ブラシを使用して比較する、
そしてそこで分かった情報を患者さんに正しく伝えたい・・・・それが電動歯ブラシコンテストを企画した理由です。
現在、日本で発売されている19社30種類の電動歯ブラシの性能をブラッシング後の「プラークの減少率」という視点で比較検討してみました。

【電動歯ブラシコンテストの概要】
  1. 各電動歯ブラシの評価は4つの歯科医院に分配して行います。 
  2. 評価は各歯科医院でブラッシング実施者1または2名(歯科医、衛生士、  歯科助手)、測定者1名(歯科衛生士)により行います。       
  3. 実施者は朝食を欠かさずとり朝食後、昼食後の歯磨きを中止します。
  4. 測定は診療時間終了後(夕方)に行います。
【測定の実際】
  1. 最初に測定者が実施者の口腔内の染め出しを行います。 染め出しはBUTLER GUM RED-COTEを綿球につけて行います。
  2. 測定者が染め出しされた部位を用紙に記載してその数を数えます。 はっきりしない所は探針でとれる部位だけプラークとみなします。
  3. 実施者は2分間、2クール法で鏡を見ないでブラッシングを行います。
  4. 測定者が染め出しを行い染め出しされた部位を用紙に記載して数を数えます。 データ等はブラインドで実施者には見せないようにします。
  5. 測定者は実施前後の染め出された部位の数から減少率の計算を行います。
  6. 各電動歯ブラシにおいて1〜5を5回行います。     
  7. 3回目にはブラッシング前後の口腔内写真を撮影します。(正面観、頬側面間、 咬合面観の合計5枚)
【評価法】
集計用紙に各回数の実施者、測定者、染め出された歯面数(実施前後)
減少率、使用感を記載します。

【評価の実際】
電動歯ブラシの試験をしてくれた人は4つの歯科医院で7名いましたが、代表例として大堀(村井歯科医院:歯科衛生士)さんをとりあげました。
大堀さんは@ACTIBRUSH Aブラウン3Dエクセル Bクレストスピンブラシ Cデンタルメイト Dインタープラークの5つの電動歯ブラシを試験してくれました。
ここではデンタルメイト(サンヨー電機)の評価の実際を見ていくことにします。


大堀さんのブラッシング前のプラークの付着(赤く染まったところ)状況です。
朝食と昼食後歯磨きを中止しているので、かなり汚れています。

夕方、デンタルメイト(サンヨー電動歯ブラシ)を使用して2分間ブラッシングをしたあとのプラークの付着状況です。
電動歯ブラシの評価を、磨く前と磨いたあとの「プラークの減少率」で比較していくことにしました。
たとえば、大堀さんがサンヨー電動歯ブラシを使用した場合のプラークの減少率は次のような計算式で出すことが出来ます。

プラークの減少率=(ブラッシング前の汚れている歯面数−ブラッシング後の汚れている歯面数)÷ブラッシング前の汚れている歯面数

この時の、デンタルメイト(サンヨー電動歯ブラシ)のプラーク減少率は60.5%でした。

日を変えて、同じことを5回行います。緑のグラフは大堀さんがデンタルメイトを使用して行ったブラッシングの5回のプラーク減少率を示しています。
黄色のグラフは大堀さんの手用歯ブラシのプラーク減少率の平均値が示されています。


大堀さんの各歯ブラシ使用時のプラーク除去率(5回の平均値)を比較したものです。
棒グラフが高いほどプラークが良くとれていたことを意味しています。

【電動歯ブラシコンテスト検討会】
約2か月に及ぶ試験が終わって電動歯ブラシの結果が出た時の様子です。
苦労しただけに、皆さんの顔は真剣そのものでした。
30種類の電動歯ブラシは自分たちで購入した物もありますが、
多くはメーカーから無償提供していただいたものです。




【注目のコンテスト結果はここをクリック】

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