6月6日うーん厳しい・・・
これは、後期の臨床研修医(芳賀先生)が学校(愛知学院)に提出した村井歯科医院の評価です。
5段階評価で5が一番よくて1が一番悪い、そう古い通信簿と思ってもらえればいい。
研修医はこの評価を私たちが見ているとは思っていなかったようです、それだけに忌憚のない意見がよく出ています。
村井歯科医院の評価を簡単にまとめると次のようになるようです。

・施設、診療内容は良い

・スタッフは良い

・指導医(院長)が悪い

・患者をやらせてくれない

なかなか言ってくれるじゃ〜ないの。
私も少し反省して嫌われないように頑張るけれど、「臨床研修は教えてもらう教育の場ではなく、自分で気ずき自分で問題の解決法を見つける学習の場にしたい」という基本的な姿勢はくずさないつもりです。

ハッキリした患者さんが時々言います「先生の診療室に来るまでに何件の歯医者を通り過ぎてくると思っとるの!」・・・・・・・・・先生が診てくれないんだったら他の歯医者に行くということなんでしょう。
開業医(かかりつけ医)は簡単には患者さんを研修医には渡せないのです。
歯科医院と患者さんとの真剣なバトルの中で、双方から少しでも認めてもらわないと治療に参加するチャンスは少ないと思うよ。

10月5日メモ魔の研修医


今年4月から来ている臨床研修医の佐々木先生です。愛知学院を卒業して補綴のCR-BRIGHEの医局から派遣されてきた先生です。この笑い顔を見てもらえれば分かる様に大変素直で明るい青年です、スタッフからの受けもなかなかのものでした。
まじめで、真剣な研修態度は最後まで崩れず、歯科界の将来は明るいと感・・・・・・・・ちょっと褒め過ぎか・・・・・・。

隣接面のコンポジット充填も時間はかかるけれど、最初からうまくこなしていましたし、各治療のステップもかなり理解しているようでした。
口腔内写真も1〜2度教えただけで、無難にこなし、何も言わなくても、撮影済みの写真をその日ごとにパソコンに保存してくれるのには随分助けられました。

そして彼はすごいメモ魔なのです、とにかく「何を書いているの?」と聞きたくなるほどなのです。
4ヶ月の研修期間になんと3冊のメモ帳が一杯になったようです。
「何が書いてあるか見せろ!」と迫るのですが、「いえいえ」と分けの分からない返答でいまだにごまかされています。

2月14日メモ魔の正体
佐々木研修医が大変なメモ魔であることは既にお話ししました。
しかし、何が書いてあるのか聞いてもはっきり答えないのです。
ある時、取り上げて写真を撮ったのですが、しかしすぐにしまいこんでしまうのです。
研修医のくせに院長に対して“見せない”というへんな威圧感を示すといったらいいのでしょうか。
最近、ふと思い付いてパソコン上で拡大して読んでみたのです。

○野○子 75歳 女性
右下4番コーヌス内冠の形成がしてあるが有髄の為内冠型のTEKが入っていた。
右下4番、左下3,4番のコーヌス外冠+メタルフレームの試適
右下4番、左下3,4番内冠Set

などと書いてある・・・・・・
おのれ、佐々木こんなくだらないことをメモしていたのか!

2月16日研修報告
私たちの村井歯科医院は愛知学院大学の従たる施設として位置ずけられる複合研修方式をとっています。
私たちの歯科医院での研修期間は前期が6月から9月までの4ヶ月間、後期が11月から2月までの4ヶ月となっています。そして前期と後期は別々の人が来ることになっています。
2004年の後期は欠員になりましたが、いままでに以下の3人の研修医がおみえになりました。

写真(上):近藤研修医
研修期間:2003年6月〜9月

写真(中):芳賀研修医
研修期間:2003年11月〜2004年2月

写真(下):佐々木研修医
研修期間:2004年6月〜9月

4ヶ月の研修期間を終えると研修医はいわゆるレポートにあたる研修報告を提出することが義務ずけられています。
以降の研修報告は3人がそれぞれまとめて発表したものです。

2月16日近藤研修医 研修報告
「下顎第二大臼歯の整直」
                 
近藤 和歌子
・緒言
 この一年間、臨床研修医として愛知学院大学歯学部附属病院総合診療科、矯正科、複合研修方式に伴う従たる施設である村井歯科医院にて研修を行った。
村井歯科医院では6月から9月までの4ヶ月という短い研修期間の中で歯科医師として基本的な対応、知識、技術を指導していただき多くの患者さんとふれあいながら様々な経験をし学ぶことができた。
この従たる施設で私が治療に携わった症例の一つを報告する。
・症例の概要
患者:16歳4ヶ月 女子
初診日:2003.4.7
既往暦:全身的特記事項無し、矯正治療の既往有り
現症:┐7の咬合面近心にかけてのカリエス、近心
傾斜 ┐8埋伏歯 全顎に軽度の歯肉炎
・治療経過及び結果
〈患者への説明〉
16歳4ヶ月で片側下顎臼歯部の近心傾斜は、将来的にみてカリエスの重症化、対合歯の提出による早期接触、ペリオ、顎関節症などを誘発する可能性のある位置であり、┐7のアップライトの治療の必要性を説明した。
〈経過〉
03. 6.14: 前処置として┐8埋伏歯抜歯 03. 7.19:┐7に頬側チューブ付きのブラケットを、固定源として┐456に0.7・クラスプ用のワイヤーをボンディング。近心は┐6にあたってロックしているのとカリエスの形態により最終的に・級インレーの予定より、隣接面を少し削った。0. 016″×0.016″エルジロイブルーワイヤーでアップライトスプリングの屈曲を行い、装着。03. 8.12: ワイヤーにテンションが感じられなくなってきたのでワイヤーを交換。崩出が進み咬合面が当たってきたので調整した。
03. 9. 2: 再度、活性化のためワイヤーを交換。
03. 9.13: 次に近心移動させるためにクローズドループを屈曲し、アップライトスプリングと交換。
03.10.18: 活性化のためにワイヤーの遠心部を引きシンチバックにしてテンションをかけた。
03.11.11: 隣接面がインレーを修復できる状態まで近心移動できたので装置を除去した。
03.12. 6: 浸潤麻酔後、・級インレー窩洞を形成し歯肉圧排、シリコーン系印象材にて印象採得、咬合採得後、仮封。
03.12.20: 隣接面の調整、咬合調整、最終研磨を行いレジン系セメントにてインレー本着。余剰セメントを除去。歯肉の炎症が装置を装着する前よりひどくなっていたのでストリップスにフッ素を塗布し歯肉縁 上、縁下に塗り込んだ。
04. 1.17: インレーをバニッシング。後戻りもほとんどなく、歯肉の炎症も大分治まってきた。最後に口腔内全体をチェック。下顎前歯部舌側に縁上歯石が目立っていたので除去しブラッシングをして経過観察とした
・考察
 矯正治療期間は4ヶ月であった。治療期間中は装置の周りはとくにブラッシングしにくくなるのでタフトブラシや歯間ブラシを使って毎回ブラッシング指導を行った。しかし装置を装着している間は患部のプラークコントロールが悪く、歯肉炎が治まらず装置を除去してから間もなく治まった。矯正治療でのブラッシングは非常に重要であり治療を進めていく上でブラッシングを含め患者の協力を得ることの大切さを学んだ。
 治療終了時のデンタルを見たときもう少しアップライトさせたいように思ったが口腔内でみるとこれ以上アップライトさせると歯冠部遠心が歯肉縁下に入ってしまうので中止した。これは下顎の歯列弓長径が短いことが原因と考えられる。今回カリエスが近心にあったので隣接面を削ってアップライトスプリングを装着したが本来ならば┐7が┐6によってロックしているので┐7をまず遠心に少し送ってロックを解除してからアップライトスプリングを装着しなければならない。アップライトスプリングでは歯根が近心に動いて歯冠は遠心に動くことにより┐7と┐6の歯間に空隙ができてしまったので近心移動さる必要があった。
 初めて経過を追いながら写真を撮ったが並べてみてみると撮り方の未熟さにがっかりした。治療の経過を記録していくことは自分自身の治療技術の再評価につながっていくのできちんと身に付けていきたいと考えている。

3月1日芳賀研修医  研修報告
「従たる施設による臨床研修報告」
                        
芳賀美佐紀
・緒言
  臨床期間中11月から2月までのまでの4ヶ月間、従たる施設である村井歯科にて研修を行った。今回その中で自分が治療に携わり、考えさせられた症例について報告する。

・ 症例の概要
年齢・性別 : 16歳・男性
初診日 : 2004年1月5日
主訴 : ブラッシング時の歯肉からの出血
既往歴・家族暦 : 特になし
現症 : カリエスはないが全体的にプラークの沈着が多く、軽度の歯肉腫脹、下顎前歯部舌側に多量の歯石沈着がみられ、口臭が感じら れる。

・ 診断および治療計画
 歯肉炎による軽度の口臭と考えられることからブラッシング方法の改善と歯石の除去により経過みていくことにした。

・治療経過および治療結果
2004.1. 5:基本検査を行い口腔の状態を説明。超音波スケーラーにて下顎の歯石を除去。患者自身、口臭には気付いていなかった。今までブラッシング指導を受けた経験なく、特に考えてブラッシングを行うこともなかったとのこと。チェアーサイドにてプラークコントロールスコアをとり患者に説明する為に、パソコン上に転写した(図4)。図は患者が見やすくなるように用紙の右側が患者さんの右側になっている今回は、ブラッシングの順番を決めると、下顎隣接面に注意しストロークを小さくすることを指導。術者磨きを行い毛があたるかんじを感じてもらった。PCR 38.3%
2004.1.20:朝と夜10分間ずつブラッシングを行っているとのこと。口臭も感じない程度になっていた。染め出しを行ったところ下顎臼歯部に目立ったため、デジタルカメラで撮影し、説明。デジタルカメラと液晶テレビが接続してあるため、手鏡では見えにくい臼歯部でもその場で見せることができる。PCR 24.2%
2004.2. 6:PCRが30.5%と前回より上がっており、患者自身も気を抜いた、、、と自覚。今回は患者さんがいつも行っているようにブラッシングをしてもらったところ、ストロークが大きくなっていた。もう一度今まで指導してきたことを説明。
2004.2.27:患者側から下顎臼歯部が磨きにくくどうしたらいいかと質問。見たところ毛先があたっていないので手鏡と術者磨きにより指導。PCR13.3%と大きく下がり、このままブラッシングを続けてもらうことで今回は終了とした。
考察  今回指導していく上で最も感じたことは、言葉を伝えることの難しさである。今回のケースでは、患者のモチベーションも高く、努力してくれているにも関わらず3回目までPCRが下がらなかった(図1、図2)。そこで、自分がただ汚れている所を指摘し、説明が一方的になっているのではないかと考え、患者さんの疑問点、提示した表、写真をみて感じたことを声にだして言ってもらうようにした。すると患者さんからの反応もあり、ブラッシングに興味がもててよかった言ってもらえた。
 当医院では患者さんのモチベーションを高める為に色々な工夫がしてある。例えば、先程も述べたようにプラークチャートを見てもらう際、プラークチャートが患者さん側と一致するよう従来の提示法とは左右が逆になっている(図3),又口腔内写真もリアルタイムに液晶テレビに写し、拡大して見えるようになっている(図4下)。
 今回、最終的にPCRは下がったが、こういった当医院のシステムや設備に助けられたことが大きいと思う。
これからもっと様々な患者さんと接し、その人に合った指導、治療を自分で考えられるように知識を広げていきたいと思った。

4月7日佐々木研修医 研修報告
見学した症例に対して行った文献の検索方法について
            
佐々木 敬介
・緒言
  自分が見学して、分からなかった事、疑問に思った事をどのように調べ、知ることができたか、その過程がどのようなものであったかをここに報告してみようと思う。
1,疑問の提起(見学中にある患者に行った症例について)
 7┐を鉗子でEXTした後、元の抜歯窩に戻しスーパーボンドで6┐との固定を行った症例を見た。見ている限りでは抜いて元の位置に戻しただけのように見えたが、x-rayの術前術後の状態を見てみると7┐の位置は若干近心上方へ移動していた。また7┐近心には大きな垂直性の骨吸収が起きていた。そして7┐の咬合面は一層削除してあった。
 この処置について院長に質問をしたところ、答えは教えてもらえず自分で文献を検索してごらんと言われ、ヒントとして同じ効果をねらって処置が行われているx-rayを見せてもらった。
x-ray

A;術前 B;術後2ヶ月 C;術後1年 D;術後2年
 この時点で自分なりに考えた事は、この症例での一番の問題は7┐の近心の骨吸収であり、この処置はそれに対するものであると考え、歯牙を一度EXTした後元に戻すという術式に関しては再植または移植というものに関連があるのではないかと思った。そしてその目的としては7┐という位置からその部位の衛生状態を改善する、後の補綴処置への何らかの1ステップだと考えた。
 骨吸収がある部位への処置として、GBRやエムドゲインといった歯周外科処置も頭に浮かんだが、見学した症例ではそれらの手術に使われる特殊な材料は使われていなかったため、まずは「再植」「移植」という言葉をキーワードに自分なりの文献検索を行うこととした。以下にどのように文献の検索を行いこの症例への処置の内容を知ったかを述べていく。
2,文献検索
 文献を検索するにあたり大学病院の図書館で、再植、移植という言葉を探しているとちょうど歯学雑誌でこのテーマで特集が組まれていたためここから調べてみることにした。
参考文献;日本歯科評論2004・「自家歯牙移植・再植の今を問う」
     歯界展望2004・「移植歯に歯根膜受容器は蘇るのか?」
3,考察
 文献を読んでみて、患者の7┐に施した処置は意図的な再植術と似ているためその一種かと考えたが、再植した歯が元の位置ではなく移動させて固定してある事、咬合面が一層削除されてある事からまたこれは少し違う処置なのではないかと疑問に思った。しかし、これらの文献より、歯根膜には再生機能があり、これによる歯槽骨の形成が再植や移植の成功に深く関わることを知った。では、歯根膜の機能を生かした処置なのであろうか?位置移動をさせていること、7┐の骨欠損の状態、患者の年齢から歯周疾患罹患者の歯の移動という言葉をキーワードに調べていくこととした。
4,文献検索
 文献を検索するにあたり、今度は二通りの手段をとってみた。一つは図書館での本の検索、もう一つはインターネットを使った検索である。
・大学図書館での検索…大学の図書館のパソコンでキーワードを「歯周病」と「移動」と入力し検索を行ったところうまく結果が出てこなかったため、歯周病関係のコーナーで歯周病全般について書いてある文献で目次や索引を見て歯の移動に関する項目について調べたがここでも見つけることができなかった。そこで、「移動」というキーワードから矯正関係のコーナーに何かあるのではないかと思い見た所、「歯周病」と「矯正」という言葉を含む題名の本を見つけた。
参考文献;Barry Wagenberg著/山岡昭 監修/松本健・酒井優 訳−歯周補綴治療のためのM.T.M
・インターネットを使った検索…Yahooを使い、いくつかの言葉を組み合わせながら検索を行った。「歯周病」&「移動」─一般開業医のホームページが沢山出る。主に歯周病で歯が動くことについて書いてある。「歯周病」&「矯正」─歯科の看板や宣伝が出てしまう。 結局インターネットではうまく絞り込んだ検索が行えず(後に医学中央雑誌、PubMetといった文献検索用のインターネットのサイトを教えてもらった)、欲しい情報が得られなかったため、図書館で見つけた本を資料とした。骨吸収の起きている歯の移動を行う、歯周病におけるM.T.M(Minor Tooth Movement)についての本であった。
 この本の中に歯牙を挺出させ、骨欠損の改善を図る症例を発見した。術式名としては「外科的挺出術(Surgical Eruption)」といい、炎症が欠如している部位において骨は健康セメント質と歯周靱帯線維とともに強制挺出中でも変性せず同じ位置を追随するという性質を利用する処置であった。症例の骨吸収は垂直性であることからも、この挺出術の適応と成りうることも分かった。このことから、7┐に行った処置は一度歯牙を脱臼させ、挺出させた位置に固定し、歯根膜の再生機能によって骨欠損部の改善を試みるものであったということが分かった。抜歯という選択の前にさらされた歯牙の最後の保存手段としてとった処置だと思われる。
5,考察
 分からない事を、今自分が思いつく方法、手段を用いて調べていくと、結果に辿り着くまでは時間がかかるが、その過程では、知りたい事に関係する周囲の知識も得ることができる。答えを聞いて知ることは簡単だが、そこまでの道のりを勉強することも魅力であると感じた。

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