■高水準消毒薬

高水準消毒薬 市販の消毒薬の中には除菌とか殺菌などといった表現でかなり低位の消毒剤が多く販売されています。
強い消毒薬が適応できない手指あるいは粘膜の消毒薬と強い消毒薬が使用できる器具類の消毒薬とを混同しないことが大切です。
器具類の薬液消毒には広い抗微生物スペクトルと強い殺微生物力のある高水準消毒薬の使用が必須です。
グルタラール製剤(グルタルアルデヒド)はほぼすべての微生物を死滅させることのできる薬液消毒薬です。特別な器具も必要とせず、比較的安価なことから非耐熱性の器具の消毒には導入しやすい方法です。
2005年2月に厚労省より「医療機関におけるグルタルアルデヒドによる労働者の健康非害防止について」という労働基準局の局長通知 が出ておりますので参考にして下さい

現在日本では高水準消毒薬としてグルタラール、フタラール、過酢酸が使用されているようですが、歯科医院での使用に関しては一長一短があり難しいところです。
それぞれの特徴については前述のホームページの参考3「グルタルアルデヒドの主な代替品」にでていますので参照して下さい。 一時期、私たちもフタラールに切換えたことがありますが、器具類や衣服のシミに悩まされてグルタラール製剤に戻した経緯があります。

■グルタラール製剤
グルタラール製剤 現在、村井歯科医院では写真のサイデックスプラス28(ジョンソン&ジョンソン社)を使用しています。
日本医薬品集で調べると10社ほどから27種類のグルタラール製剤が販売されているます。日本では実用濃度が2〜3.5%の容液で使用されるようになっています。
グルタラール製剤の最小有効濃度は1〜1.5%とされており、使用中希釈されるため通常2%容液使用では1週間で液のの交換が必要になります。
サイデックスプラス28は3.5%容液のため28日間の使用が可能となっており、交換の煩わしさを考えると大変使用しやすい薬剤です。


サイデックスプラス28について
サイデックスプラス28のメーカー


■グルタラール消毒庫
グルタラール消毒庫2005年2月に厚労省より「医療機関におけるグルタルアルデヒドによる労働者の健康非害防止について」という労働基準局の局長通知にグルタラールを使用して消毒作業をする場合、作業室内のグルタラール濃度が0.05ppmを超える時は換気などの有効な措置を講ずるような努力規定が示されています。

村井歯科医院では古くなった器具保管庫を改造してグルタラール消毒庫として使用しています。左右どちらの扉を開いても自動的にバキュームは作動し、蒸発ガスや臭いが室内に流れこまないように工夫してあります。又、容器は必ず蓋付きのものを使用しガスの蒸散を最小限に抑えています。

■グルタラール消毒時間
グルタラール消毒庫2WHOではグルタラール製剤は30分以上浸漬するとなっていますが、最近の製薬会社のインフォメーションはどれも使用基準が1)体液が付着した器具類は1時間以上 2)体液が付着しない器具類は30分以上と統一されているようです。
歯科医院の場合は体液(唾液も含まれる)の付着は避けられないことなので、1時間の浸漬を選択することになります。
器具類を浸漬したら消毒庫の扉に付いているタイマーを1時間にかけ、終了するまでは器具類を取り出さないようにルールを決めておきます。

■使用上の注意
グルタラール消毒庫3メーカー側が示している注意事項は以下の通りです。
1)グルタラー製剤には、たん白凝固性が見られるので器具に付着している体液等を除去するため予備洗浄を十分に行ってから薬液に浸浸する。
2)被消毒物を液に完全に浸漬して行う。細孔のある器具類は注意して液と十分接触させる。
3)グルタラールの蒸気は眼、呼吸器等の粘膜を刺激するので必ずゴーグル、マスク、グローブ等の保護具をつけ、吸入又は接触しないようにする。
4)浸漬の際にはグルタラール蒸気の漏出防止のために蓋付容器を用い、浸漬中は蓋をすること。
5)浸漬後、取り出した器具類は多量の滅菌水で十分に洗浄することなお、使用目的により水を使用することもできる。また、細孔のある器具類は内孔を注意して洗う。

■グルタラール製剤で消毒されている器具類

エンド用シリンジ、ガラス練板、写真撮影用ミラー、X線撮影用インジケーター、写真撮影用リトラクター、アルミキャップ、レジンTek、シリコンカップ、ガラス容器。プラスチックスパチュラー、超音波スケーラーハンドピース


■グルタラール消毒の流れ
グルタラール消毒の流れ



使用済み器具類のうちグルタラール消毒するものはこのように別に保管しておき、まとまったら流水下でブラシ等を用いて丁寧に洗浄する。







超音波洗浄器のなかに洗浄剤(エス・クリン30等を使用)を入れ、30分間超音波洗浄する。その後水洗して、タオルで水分を拭きとり乾燥させる。







前述の使用上の注意を守りながら1時間の浸漬を行う










グルタラール製剤消毒後、薬液の残留がないように流水下で丁寧に水洗する。







水洗後、そのまま食器乾燥器に移し滅菌されたピンセットで乾燥しやすいように並び変え40分間乾燥させ専用の密閉保管庫に保管する。


■使用済み液の廃棄
使用済みグルタラール製剤は2%グルタラール製剤1リットルに対して水200リットルで希釈し廃棄しないと水質系の汚染につながるといわれています。
しかし大量の水で希釈する方法は現実的ではないので、現在写真の亜硫酸水素ナトリウムで中和してから廃棄しています。

・2%グルタラール製剤1リットルに対して亜硫酸水素ナトリウム45グラム

・3.5%グルタラール製剤1リットルに対して亜硫酸水素ナトリウム75グラム

で中和後、水道水の流水下で下水に廃棄しています。