infection院内感染対策

b.EOG

EOG滅菌

平成13年の法令改正でその取り扱いが面倒になり、EOG滅菌から撤退してしまった医療機関が多いと聞いています。

しかし、村井歯科ではEOGに代わる確実で安価な滅菌法が無いことから現在も使用を継続しています。ここでは、法令の改正点等をふまえながら、EOG滅菌の使用の現状をお知らせします。

用している機材はエルクコーポレーション(旧西本産業)のエルパックオートKS16(写真左)と使用滅菌ガスは1回使用のカートリッジになっているエキテック95 10g(写真右)です。

本装置の概要及び特徴(メーカー記)

・全作業工程が大気圧以下で進行する為、ガス漏れに依る事故の可能性がほとんどない
・カートリッジ缶入りのガスを使用する為、ボンベ取り扱い上の煩雑さや危険性がない
・扉の開閉がワンタッチで出来る
・滅菌温度は、材料に応じて60℃又は40℃の選択が出来る
・作業工程の残時間が表示されている
・エアーレーション機能が付いている

当医院での滅菌条件

滅菌条件は60℃の方が優れていると言われていますが、この温度ではガッタパーチャポイントが熱で変形してしまうため40℃で行っています。
温度:40℃
滅菌時間:6時間
置換:30分
エアーレーション:15時間
「エチレンオキシドを用いた滅菌作業における健康障害防止対策について」
平成13年4月の安全衛生関係
・法改正
酸化エチレン関係:労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則・特定化学物質等障害予防規則の改正により
・作業主任者の選出
・設備の定期自主検査
・作業場の作業環境測定
などが義務づけられました。村井歯科でも特定化学物質等作業主任者技能講習(二日間)を修了した作業主任者(常勤スタッフ)を置いています。

半年に1回の作業環境測定は経費や測定の煩雑さからか、小規模の診療所などでは運要面で若干厳しさが考慮されているのではと感じています。
(参照:「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」について

熱に耐えられない物やオートクレーブでは錆びてしまう物の中に、滅菌対応しなければならないものがかなり含まれています。グルタラール製剤では十分な滅菌管理ができないため、どうしてもEOGに頼よらざるをえないのが現状です。

現在村井歯科でEOG滅菌の対象になっているのは以下の器具類です。
各種ストレートバー、歯ブラシ、歯間ブラシ、シリコンバー、PMTC用バー、電気メスチップ、各種セパレーター、CR充填器、研磨用ストリップス、研磨用ジスク、各種プライヤー、ガッタパーチャーポイント、根冠バーペーパーポイント等。

EOG滅菌の流れ

  • ①各種ストレートバー、根管形成用バー、コントラ用スチールバー、PMTC用バー、シリコンポイント、プラスチックCR充填器等は洗浄後、超音波洗浄にかけられます。

  • ②市販の食器洗い機で30分間洗浄する。

  • ③乾燥後、グルタラール製剤に1時間侵漬する。グルタラール侵漬後よく水洗・乾燥し一時的にまとめて保管する(EOG滅菌は週2回行うのみ)。

  • ④EOG滅菌の当日にそれぞれ滅菌バッグにパッキングする。

  • ⑤休みの前日(水曜日と土曜日)にEOG滅菌をセットする。

EOG滅菌の流れ

歯ブラシ・歯間ブラシの流れ

1.水洗 2.超音波洗浄器 3.食器洗い機 4.乾燥 5.パッキング 6.EOG滅菌

ガッタパーチャーポイント、ペーパーポイント、研磨用ストリップス、研磨用ジスクの流れ

1.パッキング 2.EOG滅菌

電気メスチップ

1.アルコール綿で清拭 2.EOG滅菌

滅菌代行サービス

最近の滅菌代行サービスの状況を以下に示します。
滅菌消毒業務(あるいは滅菌サービス業)は、病院で使用した医療器材を預かり滅菌用施設へ持ち帰り、そこで器材を洗浄・組立・包装・滅菌し専用のコンテナに収納して滅菌状態で再び病院へ届けるサービスであり、医療機関を対象とした業務代行サービス業の一つであります。近年医療機関のニーズも多様化し、本サービスの提供形態は以下の3形態に大別されるようになりました。

・集中処理施設型:滅菌専用施設を設置し、施設から経済的距離内に存在する複数の病院を対象に滅菌サービスを提供する形態。
・業務請負型:病院内の滅菌設備を使用しその病院のみを対象に滅菌サービスを提供する方式。
・併用型:前述の二つの形態を取り入れた方式で、院内で業務を請け負う一方、院外の滅菌専用施設にも外注する方式。

参入企業

滅菌代行の事業者は全体で約40施設あります。最大手は日本ステリ、二番手が鴻池メディカルです。またメディカルシステムサービスがフランチャイズ展開をしています。近年ではとくに、院内での消毒滅菌事業で他業種からの参入が盛んであり、ビルメンテナンス業や人材派遣業からの参入が多くみられます。

外部委託の状況

滅菌消毒の外部委託率は医療関連サービス振興会調査によると17%ですが、ごく一部を外部委託しただけでもカウントされているため、高く出ています。滅菌消毒はまだ新しいサービスでなので、認知が進むことにより、外部委託率も今後大きく伸張することが予想されます。
(日本滅菌業協議会「滅菌業務研修テキスト」より参照)

上記に上げた会社は大きな病院の滅菌業務代行が主のようですが、中には専用の容器を使って宅配便で滅菌代行サービスを行なってくれる会社もあるようです。ガッタパーチャーポイントやペーパーポイントなど、滅菌バッグにパッキングした状態でまとめて外注に出す選択肢もありそうです。興味のある先生は一度自分でチェックしてみて下さい。